Vol.4 部材の切り出し

さて、ここまでローチェアに必要な材料・工具を把握しました。さらに苦労したけれどもローチェアの手作りに必須の設計も終えています。

ここまではローチェアを作るための事前準備だったワケですが、ここから製作に入ります。製作の手順を進める。するとローチェアの姿が形として見えてくる。手作りの醍醐味ですね。

そうそう。自分がやっていることが正しいかどうかチェックするためにも設計図は必要ですからね。ここからの手順は設計図を準備してから実行して下さい。では、手作りローチェアの製作をはじめましょう。

1.材料の無駄を省いて安く作る

さて、設計図が完成したら改めて材料について考えます。ローチェアの部材はホームセンターなどで市販されているワンバイ材などから切り出します。ここで大切なのは材料を無駄なく使うこと。これが「安く作る」ための重要ポイントとなります。

ビリ手製のローチェア1号機とローチェア2号機では、19mm×38mm×910mmのワンバイ材を一脚あたり4本購入していました。

1号機と2号機を作った後、設計図を書いて判ったことですが、ローチェアを作る材料は、実は市販されている定尺の1820mm(木口19mm×38mmのワンバイ材)2本で作ることができるんです

「長さ910mmを4本」と「長さ1820mmを2本」で材料費(ビリ購入価格)を比べると次のとおりになりました。

19mm×38mm×910mm×4本を使用
トータルの長さ3640mm
75[円/本]×4[本]=320[円]
19mm×38mm×1820mm×2本を使用
トータルの長さ3640mm
120[円/本]×2[本]=240[円]

ともにトータルの長さはどちらも3640mmですが、後者が80円安くなります。

設計図を描く。次に木取図を描く。すると、一つの材料から部材がいくつ取れるかがわかる。こうやって材料の無駄を省くのです。

材料の無駄を省く。と同時に安い費用でローチェアを作ることができます。

2.ローチェア部材の切り出し

manual_fig7.png

上の図は長さ1820mmのワンバイ材(木口19mm×38mm)に、ローチェアの部材となる座A、背A、背Bを切り出す線を示した図面。こういった図面は木工DIYの世界では木取図と呼ばれていますよ。

木取図に示したように1820mmの木材から座Aを2本、背Bを2本切り出すことができます。右端の青色の部分は端材となります。

また図中の下に示したようにもう1本の1820mmの木材からは、背Aを2本、背Bを1本切り出すことができます。端材となるのは右端に示すほんのわずかな青色の部分だけ。

端材は不要な材料のことです。不要な材料はわずかに青色の部分だけになります。こうやって木取図を描くことによって購入すべき材料が分かるんですね。同じワンバイ材でも長さ910mmではなく、長さ1820mmを選ぶのがヨイのです。

3.ローチェア部材をホームセンターで切ってもらう

設計図を書いて各部材の寸法を決める。面倒な設計図ができたら一気に木取図まで描いてしまいましょう。

設計図と木取図によって、ここから先の作業がグッと簡単になるかもしれませんよ。

ホームセンターで買う木材の寸法も決まりました。さらに木材を切り出す寸法も決まりました。この二つの図面があれば、木材を買ったホームセンターの木材加工サービスで部材を切り出してもらうことが非常にかんたんにできてしまいます。

もちろん、ノコギリを使って自分で切ることでも構いませんよ。ただ、最近、木工加工サービスを利用してわかったことなんですが、木工加工サービスの切断の精度が良いんですよ。もちろん店舗によって、または係の方によって違いはあるんでしょうけれど、ビリがノコギリを使って切るよりは格段に精度が良い。

ホームセンターの木材加工サービスは有料の場合が多いようですが、利用しない手はありません。切断の精度が仕上がりを左右するといっても過言ではありませんしね。「直線カット○○円(数十円)」という形で回数分の費用を出費することになりますが、ビリは、対価以上の品質、かつ短時間でカットできるのは魅力だと感じました。

設計図と木取図を持ってホームセンターへ。材料を買ったら木材加工サービスを利用。こんな手順を実行すると、帰ってくる時には下写真のように切り出した部材を持って帰ってくることができます。これは大きなメリットです。

manual_fig5.JPG

ホームセンターから部材の状態で持ち帰れたら、アナタがやることは組み立てだけになります。いわば「ローチェア手作りキット」となりますね(笑)。もしかしたら、手作り感が減ってしまうかもしれませんが、「ノコギリがない」、「木材を切るのが苦手」、はたまた「なるべくかんたんに作りたい」という方は、是非ホームセンターの木材加工サービスを活用して下さい

その料金(概算)はというと、上図のとおり仮定すれば直線カット7回。直線カット1回50円だとしたら350円で木材の切り出しが完了しますね。

部材の切り出しが終わったら次はいよいよ組立てです。

次はいよいよ組立てだぁ!
Vol.5 組立

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