設計図

1.ローチェア設計図の必要性

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設計図の製図はローチェアの手作りに欠かせない大切な手順です。設計図ができると必要な材料と作業が決まる。その結果、作業全体を効率よく進めることができます

例えば効率の悪い作業の例。頭の中で寸法を考えノコギリで切る。次の材料も作業を中断して寸法を考えてから切る。「作業」と「(脳内)設計」を細切れに、しかも繰り返し行うのは効率が非常に悪い。ローチェアの完成イメージを図面に落とし込んでおかないと、思わぬところで失敗する恐れもあります。

しかし、わたし達は違います。まず設計図を書きます。そして設計図に基づいて、適切な材料を選びます。その結果、材料費は最小限に抑えられます。さらに全ての作業を効率的で短時間に済ませることが可能となります。だから設計図が必要なのです。

2.手作りローチェアの設計で考慮すべきこと2点

2-1.座り心地

手作りローチェアの設計図の書き方を以下に示します。が、その前に知っておきたい手作りローチェアの設計で考慮すべきこと2点を紹介します。

一つは、その「座り心地」です。椅子に求められる基本性能の座り心地。はたして手作りしたのはいいけども満足のいく座り心地になるんでしょうか。この点は、手作りしたローチェアの寸法の違いとか、それに座る人の体格の違いによって左右されるものですから、一概に「最も座り心地がいい完璧な寸法はコレだ」と決められるものではないと考えています。

それでも、ビリの経験から座り心地について次のとおりまとめています。設計をはじめる前にご覧いただくことをおすすめします。

手作りはイイけど座り心地ってどうなのよ
ローチェア手作りマニュアル 座り心地

2-2.ローテーブルとサイズを統一

手作りのいいところは「自分の思い通りに作れること」です。だから、ビリは手作りローチェアとローテーブルのサイズを統一。仕舞い寸法を統一することで倉庫に仕舞うにも車に積むにも、スッキリ収めることができます。

正確には、ローチェアの仕舞い寸法にローテーブルの天板寸法を合わせているという事情なので、ローテーブルは少し小さくなってしまうのかもしれません。しかし現在のところ実用上の問題はありません。

ローチェアも作りたい。そしてローテーブルにも挑戦したい。という方は、あらかじめ両者の寸法を考慮して統一することにより、すっきりした収納が可能となります。

2-3.背もたれ

背もたれ。背もたれこそが手作りローチェアの最大の難所と言っていい。ビリが難しいと感じる点。その一つ目はローチェアに適した布が見つかるかどうか。二つ目は背もたれの固定方法です。

いやぁ~背もたれについては考えましたよ。布を変えることはもちろん、固定方法も複数の方法を試しました。その試行錯誤の様子は「背もたれ布固定の失敗例」をご覧下さい。

3.ローチェア座面 設計図の書き方

早速、設計図を書いてみましょう。詳細に寸法を書き込んでカンペキな設計図に仕上げることが理想的です。でも、側面図を書くとローチェアの完成イメージをつかむことができます。最初から欲張らずに、ラフな側面図を書いてみましょう。設計図を書いておけば要らぬ失敗を防止できます。

側面図を書く前に下図のように座面の寸法を決めます。

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座面の天板に使用する材料「座B」の幅は30mm。図のように材同士を10mm間隔で並べると次の足し算で求まるとおり奥行き190mmの座面になります。

座面:30mm(材料幅)+10mm(間隔)+30mm+10mm+30mm+10mm+30mm+10mm+30mm=190mm

「座A」の間隔は、ローチェアの幅を決めて適当な寸法に合わせればいいでしょう。

4.ローチェア背もたれ 設計図の書き方

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座面の寸法を決めた後は、背もたれの設計です。まずローチェアの「背もたれ」部分について、次の「仮決め」をします。

「背もたれ」を仮決め
背もたれに使う材の長さは最長部分で70cm
背もたれの「倒れ」は120°

上の数値はあくまで「仮決め」なので、背もたれを寝せたい方は倒れ120°から125°、130°と倒れを大きくして下さい。

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最後に座面の高さを決めます。120°に倒した背もたれに沿わせて奥行き190mmの座面を上下にスライドさせるイメージで座面の高さを調整します。ローチェアの後側の足(材:A)の長さは、座面を高くすると長くなり、低くすると短くなりますね。

5.ローチェア 収納時の見た目

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座面の足の長さは収納時に組み合わせた際にも違いが出ます。写真の三つのローチェアのうち、最も座面の足が長いのは左のローチェアです。その分、収納時の座面の位置が写真中央と右のローチェアに比べて高くなります。

だからといって、特に問題となることはありません。でもモノホンに近づけたいと考える方は下の写真を参考に寸法を割り出してみるのも面白いかもしれませんね。

説明が不十分なため設計図ができないという方もいらっしゃるかもしれません。

が、設計図ができていない方は、どうか設計図を完成させてから先に進んで下さい。設計図ができていない。これ即ち加工、組立てもできないことを意味します。時間がかかっても設計図を完成させることが先決です。

設計図が完成したら次の手順「部材の切り出し」に進みます。

設計図ができてからお進み下さい
ローチェア手作りマニュアルVol.4 部材の切り出し
その前に一工夫
ローテーブルとサイズを統一

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